地域の暮らしに、楽しみや潤いを生む場所をつくる仕事
- 株式会社フジ(取材時:株式会社フジ・リテイリング)
- 2022.11.18
- 愛媛県松山市他
「身近で親しみのある場所です。幼少期から、家族や友達と遊びに行く場所といえば、フジでした」
「フジに抱く印象」を聞くと、インタビューを受ける3人は揃って同じことを語った。フジは、食料品・衣料品・日用雑貨品等の小売販売を行う総合小売業で、愛媛県を中心に中四国で102店舗を展開している。そのひとつひとつの店舗が、地域の人たちが愛着を持つ場所になり、地域の暮らしに楽しみや潤いを生んでいる。
今回、フジで活躍する3人の女性社員から話を聞いた。フジの店舗に生まれる愛着は、商品の魅力だけではなく、働く人の魅力も含めたフジ全体からつくられているものだと感じた。
〈インタビュー相手〉
■ 矢野 麻衣(やの まい)さん:エミフルMASAKI(愛媛) 販売促進課 販売促進主任。山口県宇部市出身。岡山の大学を卒業後、フジ入社。入社後10年程ファッション部門を担当し、昨年販売促進部門へ異動。一児の母で、子育てと勤務を両立。
■ 村井 祐里奈(むらい ゆりな)さん:フジ四国中央店(愛媛) レジサービス部門 係員。愛媛県西宇和郡伊方町出身。広島の大学を卒業後、フジ入社。エミフル松前店(愛媛)・フジグラン緑井店(広島)での勤務を経て、現在はフジ四国中央店勤務。
■ 浅井 ひなの(あさい ひなの)さん:フジグラン高知 青果部門 係員。愛媛県八幡浜市出身。福岡の大学を卒業後、フジ入社。
――フジで働くことを決めた背景、3人が共通して持つフジへの愛着
愛媛県出身の村井さんと浅井さん、山口県出身の矢野さん。出身は異なるものの、フジに抱くポジティブな印象は3人とも同じだった。地域で働く数ある選択肢の中で、愛着のある場所だったというフジで働くことを決めた背景について話を聞いた。
矢野:山口県の出身で、高校まで山口で過ごしました。小学4年生からソフトテニスをしていて、大学もスポーツ分野の専攻で岡山の大学に進学しました。就職活動をするまで、自分が経験した分野がスポーツしかなく、良くも悪くもそこしか見えていなかった感じでした。体育教諭やインストラクターのようなスポーツに関わる仕事も選択肢にあったんですが、ずっとスポーツに注力してきて休日に遊ぶ時間も少なくて。違うことをしてみたいという気持ちが高まって、就職活動時にスポーツ関連の仕事は選択肢から外しました。就職活動を始め、様々な選択肢があることを初めて知り、就職氷河期だったこともあって、様々な業界・職種に応募しました。パソコンの操作が好きだったので事務の仕事に応募したり、その中でフジは地元で遊びに行く親しみのある場所だったので応募しました。最終的に3社内定をいただきましたが、もう2社は山口に支店がない会社で、将来何かしら地元に貢献できる可能性を考え、フジに入社を決めました。
村井:私は愛媛県の佐田岬半島の出身で、高校まで地元で過ごし、大学で広島の大学の教育学部に進みました。大学3年で教育実習に行くまでは国語の先生になりたいと考えていたんですが、実際に教育実習で働いてみて教師の仕事は自分には難しいかなと感じたんです。就職活動の際は、愛媛に戻ることを当たり前に考えていて、愛媛で育ったから地元に戻って何かしたいという気持ちを持っていました。一時期東京で働くことを考えた時期もあるのですが、就職活動で東京に行って自分には合わないと感じてからは愛媛だけで考えていましたね。「人と関わる仕事がしたい」という想いが就職活動の軸でした。フジは、実は両親から勧められたんです。よく知っている会社で、安心感のある印象が強かったんだと思います。私も、お出かけといえばフジというイメージで、とても身近な印象を持っていました。ちょうどフジが50周年のタイミングで、その時のスローガン「この街に、あってよかった。」がすごく好きで、これを掲げて仕事ができるのは素敵だなとも感じました。
浅井:私は愛媛県の八幡浜の出身で、高校まで八幡浜にいて、北九州の大学に進み心理学を学びました。就職活動前は、正直将来何がやりたいか分からなかったのですが、自分の興味を考え、食品関連の仕事に就きたいと考えるようになりました。また北九州では方言など文化の違いも感じて、帰省した際に四国が自分の肌に合っていて落ち着くと感じていたので、将来住むなら四国がいいと考えました。あとは私も人と関わることが好きで、様々な人と関われる仕事をしたいと考えました。フジは、とても身近でしたし、幼少期から利用する中でフジの店員さんの明るく丁寧な接客に憧れの気持ちも持っていたんです。安心できる・親しみのある場所で働きたいという想い、小さい頃からの憧れ、自分の興味にも合う企業ということで、フジを1番に志望しました。福利厚生面が、女性目線で充実していることもポイントでしたね。
――フジで担当する業務、日々の業務のやりがい
フジに入社した3人はそれぞれ異なる店舗で異なる業務に従事している。小売業における業務の役割分担、良い店舗をつくるために大切にしていることや、仕事でのやりがいについて聞いた。
矢野:入社して主にファッションの部門を担当していました。入社して最初の3年は婦人服部門、その後に紳士服部門、さらにその後に履物と服飾雑貨の部門を担当しました。ちょうど1年前に、現在の販売促進部門の担当になりました。
入社から1年前まで担当していた売場の部門では、実際に店舗の売場を設計し、お客様を接客し、商品を販売する役割を担います。バイヤーが仕入れた商品の魅力を最大限伝えられるか、その違いが売場づくりに現れるので、商品の魅力を伝えられる売場をつくることを最も大切にしていました。商品を並べて売る、ただそれだけにも見えるのですが、想像以上に多くの工夫が詰まっていることを入社して初めて知りましたね。現在担当している販売促進部門は、お客様が商品を買う前の段階で、店舗にご来店いただくための集客策や、店舗を楽しみ購買を促すための施策づくりを担当しています。商品に直接携わることがなくなったのが、売場から1番大きく変わったところですね。商品をどうお客様に届けるかという考え方から、どう来館してもらえるか、施設をどう楽しんでもらえるか、という考え方に変わってきました。また、今は主任の立場にいるので、部下の仕事の管理や振り返りも担当しています。
フジ全体でいうと、各店舗の社員が働きやすい環境を整える本部の人たちがいて、各店舗にファッション・食品等の商品群ごとの担当がいて、店舗ごとに店長を中心に方針を立てつつ、それぞれが異なる役割を担いながらフジという会社全体が成り立っています。
やりがいは、消費者の立場として感じたことを仕事に反映できることですね。私自身ショッピングが好きで、普段からいろいろなところで買い物する中で、「もっとこういうものがあったらいいな」と感じたことを、自分の仕事として実現できることがやりがいだなと思います。買い物が好きな人はフジの仕事は楽しめると思います。毎日楽しく仕事ができていますね。
村井:私は入社して4年目で、ずっとレジサービスを担当しています。サービスカウンターやお客様窓口のような役割で、ご来店いただいたお客様からのご要望に対応する役割を担っています。愛媛と広島の店舗で勤務した後、今は四国中央店で勤務しています。店舗ごとに、人との距離感や雰囲気の違いがありますね。今の四国中央店では、お客様からよく話しかけられ世間話をすることも多く、人の距離が近い土地柄だなと感じます。
レジサービスは他の部門と違い、物を売る部門ではないので、自分たちのサービスや接客でお客様にいかに満足してもらえるかが大切だと考えています。お客様への接客の中で「ありがとう」と言われることにやりがいを感じますね。人と関わることが好きな人が向いている仕事だと思います。
浅井:私は入社2年目で、青果の主に果物を担当しています。今までは売場をつくることがメインでしたが、最近は発注業務も担当するようになり、利益をどうあげるか等を勉強しているところです。小売業は商品のバラエティが豊富でそこがおもしろいところですね。実際に自分が考えた売場や商品の見せ方で、商品が綺麗に回転して売れて、その日の売上を達成できたときはうれしいです。
今は高知の店舗にいるのですが、高知は愛媛よりもさらに人の距離感が近くて、気軽に話しかけてくれる方が多いです。接客で様々なお客様と関わることも学びが多いなと感じますね。「接客が丁寧で優しくて、ありがとう」と笑顔で言われたことがあって、人の役に立っていることを実感しました。これからも気持ちの良い接客でお客様に笑顔になってもらうとともに、フジのことを好きな人を増やしていければと考えています。
――子育てと仕事の両立、そのための意識の変化や試行錯誤(矢野さん)
矢野さんは、フジで勤務しながら出産・育児休暇・職場復帰を経験した。子どもが生まれる前後での仕事の変化や子育てと仕事の両立について話を聞くと、様々な試行錯誤や意識の変化があったという。
矢野:出産をして、育児休暇を約1年取得して職場に復帰しました。職場復帰するまでは、子どもがいなかったときと同じぐらい仕事もしたいし、子どもがいることをハンデにしたくないと考えていました。しかし、実際に復職し子育てしながらの仕事を経験すると、これまでと全く同様に仕事をするのは想像以上に困難だと分かり、やりたいのにできないギャップに悩みました。私自身、何でも自分でやりたいと思うタイプなんですが、現実問題として自分だけではできないこともあり、周りに頼らないといけないことがたくさんあるということを少しずつ理解していきました。今ようやく、子育てをしながら、制限がある自分でもできることを精一杯しようという考えに辿り着けていて、効率的に仕事を進めるためにどうするか考えながら仕事ができるようになったので、そういう意味では子どもが生まれる前の自分よりも成長できているのかなと思います。
今は時短勤務にしているんですが、復職してすぐの頃はすごく意気込んでいて、フルタイムの勤務にしていたんです。時短勤務にすると、できないことが増えるんじゃないかと思って。ただ、時短勤務をしないということは、周りと同じ夜の時間帯なども担当しないといけないわけで、それを周りの人たちが「いいよいいよ」と制度外のところでフォローしてくれていました。それが周りに迷惑をかけているんじゃないかと思うようになり、自分にも重荷になったので、異動になったタイミングで時短勤務を選択しました。選択して1番の違いは、気持ちの部分ですね。ありがたいことに周りの理解もとても深く、制度として認められているので自分の気持ちも楽になりました。さらに、残業も発生してはいけないので決められた時間から絶対に超過しないように、より集中して仕事ができるようになったと思います。
子どもがいない頃と同じくらい働くのは難しいと思うんですが、子どもがいる自分だからこそできる発想やアイデアも出てくると思うので、そういう部分を活かしながら仕事をしていければと考えています。フジでは、子どもが小学6年生になるまで時短勤務を続けられるんですが、外すタイミングは自分次第だなと思っています。今はまだ子どもが3歳で小学生になるとどういう変化があるかまだ分からないんですが、どこかで時短勤務を外せるのであれば自分の仕事の選択肢も広がると思うので、いずれは元の勤務に戻すことも考えたいです。
フジは、子育てをしながら働く人に対して周囲の理解が深い会社だなと感じています。どの店舗にいても、子どもがいることを煙たがられたことはないですし、様々なところでフォローしてくださって、周りのおかげで仕事ができているなと感じます。また、フジは英語教育にも注力した企業主導型保育園「フジにじいろ保育園」を運営していて、私の子どももそこに通っています。制度もそうですが、環境としても働きやすい会社だと思います。
――愛媛という場所に感じること、フジの社風
愛媛以外の場所に住んだ後に、愛媛という場所で暮らし始めた3人に、愛媛に対して感じることや、フジの社風についても話を聞いた。
矢野:愛媛に移住して、松山はコンパクトで住みやすいまちだと感じます。ただ、住むには全く困っていませんが、山口に帰省するとき、新幹線がない等交通の便の悪さは感じますね。若い頃は実家が遠くても平気という気持ちだったんですが、いざ子どもが生まれると親に会わせたいと考えたり、実家との距離を感じるようになりました。
村井:私は愛媛の中でもかなり田舎で過ごしてきたので、松山で暮らすと都会な感じがしました。交通の便については私も感じますね。車を持っておらず、自転車では行けるところが限られるので。
フジの雰囲気でいうと、入社してから3店舗経験しましたが、どの店舗の社員の方も優しくて、本当にみなさんによくしてもらっています。今でも1年目のときに同じ職場だった人といっしょに出かけたり、アットホームな職場だと感じます。
浅井:入社して高知に住み始めて、大学時代に住んでいた北九州よりも温かい人が多い感じがします。フジの社員のみなさんは、気さくに話しかけてくださる方、私の成長を気にかけてくれる方が多く、温かい職場だと思いますね。活躍されている先輩を見ていると、みなさんに分け隔てなく挨拶をしている方が多く、いろいろな部門を越えた連携が必要な仕事なので、コミュニケーションが好きな方が合っていると思います。
矢野:あと、フジの仕事は転勤があるので、いろいろなところに住むことに抵抗のない方の方が向いていると思いますね。抵抗がない方なら、その土地土地で住むことのメリットを感じながら楽しんで暮らせるんじゃないかなと思います。
――フジで今後挑戦したい仕事、仕事を通じて社会に貢献したいこと
最後に、フジの仕事で今後挑戦したいことや、今後の仕事を通じて社会に貢献したいこと、3人の将来のキャリアビジョンについて聞いた。
矢野:バイヤーとしてフジ全店に並ぶ商品の仕入れに携わりたいですね。フジにはやはりモノを買いに来る人が多いと思いますし、お客様が実際に手に取り買っていただく商品を、自分が仕入れることはとてもやりがいのある仕事だと思います。今の販売促進の部門でも学べることはたくさんあり、お客様に買い物を楽しんでもらうための知識を学ぶことで、これまでとは違った形でお客様に楽しみを提供できるのではないかと。バイヤーとして商品を決めたり、企画したりすることを通じ、お客様に買い物の楽しさを味わってもらうことが、地域への貢献にもつながると思います。また、入社の決め手が地元の山口に店舗があることでしたし、地元で働くことがなかったとしても、自分の考えた商品が地元の店舗に並ぶという形で、地元にも貢献できればと思います。
村井:将来的には本部で働きたいと考えています。特に、人事の方に、新入社員の頃にしっかりと教育してもらい安心して働けるようになったことが心に残っているので、社員の教育等に携わっていければと考えています。
フジがあるということが、その地域にいる人たちのひとつの楽しみになればいいなと思っています。買い物に来て、イートインコーナーでお茶をしながらおしゃべりして、店員と会話して帰って、それだけで楽しいと思ってもらえたらいいなと。地元の人の暮らしの潤いみたいな場所になればと考えています。
浅井:村井さんと重なるんですが、私も人事の仕事に関心があります。大学で心理学を学んでいたので、人が働きやすい環境を整える仕事に興味がありますし、社員のメンタルヘルス面で貢献したいという想いがあります。食への興味はもちろん変わらず強いんですが、大学で学んだことを活かしてみたいという想いも最近芽生えてきました。まずは店舗でより全体的な経営管理や人事についても経験を積んで、将来的には本部で人事の業務に挑戦してみたいですね。
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制作:四国経済連合会
取材:一般社団法人四国若者会議
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