地域に根ざしながら、高知の食、地域の食を広める仕事
- 旭食品株式会社
- 2023.11.24
- 高知県南国市他
地域には地元に根ざした様々な豊かな食がある。47都道府県どこに行っても豊かな食が存在し、それは日本の地方の魅力のひとつを成している。その中で、魅力に溢れているものの日の目を見ていない食も存在する。「こんなにおいしいのに」「こんなに良いこだわりが詰まっているのに」、知っている人の多くがそう感じる商品も、認知度が低く売れないことで苦境に立つケースもある。地方の零細な企業では、良い商品をつくっても、PRや流通にまで十分に手が回らないケースも多いかもしれない。
全国でも有数の食の魅力を持つ高知県で、食品メーカーと小売店の間に立つ卸売業として、幅広く高知の食の魅力を掘り起こし広める役割を担っているのが、旭食品だ。今回、旭食品の3人の女性社員の方々から、旭食品での業務のやりがいや、高知や地域の食への想い、そして将来のキャリアビジョン等、旭食品での仕事の背景について、話を聞いた。
〈インタビュー相手〉
■ 松本 初貴(まつもと はづき)さん:旭食品株式会社 商品統括本部 営業支援部 地産外商推進一課。高知県南国市出身。大阪府の大学を卒業後、新卒で旭食品に入社。
■ 赤井 彩夏(あかい あやか)さん:旭食品株式会社 営業一部 営業四課。高知県高知市出身。大阪府の大学を卒業後、新卒で旭食品に入社。
■ 濱田 紫乃(はまだ しの)さん:旭食品株式会社 営業一部 営業一課。高知県高知市出身。京都府の大学を卒業後、新卒で旭食品に入社。
――旭食品に入社を決めた理由、「食」「高知」への想い
松本さん・赤井さん・濱田さんは3人とも高知県出身。大学進学を機に県外に出て、旭食品への就職で高知に戻った。最初に、旭食品に入社を決めた理由や背景について、話を聞いた。それぞれ異なる選択の軸を持ちながらも、共通する「食」「高知」への想いを語ってくれた。
松本:高知県南国市出身で、小中高と地元の学校に通い、大阪の大学に進学しました。大学では経済学を学びながら、将来の選択肢のひとつとして教員免許も取得しました。就職活動では、高知の食が好きだったので、食品に関わる仕事に就きたいと考えていました。高知は、「食のおいしい都道府県ランキング」で1位になったり、実際食がとてもおいしいと思います。また食を通じて、家族や友達とのコミュニケーションが進むところも、食が好きになった理由ですね。特に、高知には様々な名産品があるので、それを発信したいと考えていました。旭食品は、高知に本社があり、県外各地に拠点があり、食品卸の事業も自分のやりたいことに最適だと考えて、応募しました。他には食品メーカーや小売店も選択肢に入れていましたね。高知は就職の選択肢が少ないので、大阪での就職も考えたんですが、家族や友人も高知にいるので、できるなら地元に戻って働きたいと考えていました。若者の県外流出が増えているという話も聞いていましたし、自分の場合、希望する仕事が高知にあるので、高知で働く方が地元のためだろうとも考えましたね。仕事選びで最も重要視した点は、事業や業務が自分のやりたい仕事とリンクしているかどうかです。リンクしていることで、やりがいを持って働けると思うので。旭食品は、地域を非常に大切にしていて、地域の商品の取り扱いも多く、様々な商品に携わることもでき、高知の食を発信するという自分のやりたいことに最もマッチしていました。また、福利厚生も重要視していました。福利厚生によって、プライベートも充実して仕事につながると考えていたので。
赤井:高知市出身で、小中高は高知市内の学校に通い、大阪の大学に進学しました。大学では、商学部でマーケティングや経営学を学び、ゼミで企業と連携した事業創出や地域活性化のプロジェクトに取り組みました。1・2年生の頃は高知に戻るつもりはなかったんですが、3・4年生の頃にゼミで参加したプロジェクトや就職活動を通じて少しずつ考えが変わりましたね。まず、ゼミの活動で、守口市の地域活性化プロジェクトに携わり、地域に関わるプロジェクトが自分にとても合っていると感じたんです。「自分が生まれ育った高知で、地域の人々と関わる仕事がしたい」という想いが大きくなりました。就職活動で重きを置いたのは、「人と直接関わる仕事ができること」「人々の生活を支える仕事ができること」です。旭食品の説明会で、食品卸はメーカーや量販店の間に立つ役割を担うことを知り、多様な人と関われることに魅力を感じました。地域密着でもあり、自分のやりたいことに最も合致しているなと。企業選びの軸、やりたいこと、自分の性格、関わりたい人を組み合わせて考えて、1番マッチしたのが旭食品だったという感じでした。食品メーカーや住宅メーカーも見ていましたが、そこに入った場合は高知では働いていなかったかもしれません。また、私たちの世代はコロナ禍の就職活動だったので、基本的に面接も説明会も全てオンラインでした。入社後のギャップが不安だったので、地元の企業であることの安心感もあったと思います。
濱田:私も高知県出身で幼い頃からダンスを習っていました。大学進学後は法学部で法を学びながら、幼少期から馴染みのあったよさこいサークルに入りました。今年初めて旭食品でよさこいに参加しましたが、旭食品は、入社前は何よりもよさこいのイメージが強かったです。私も大学生の頃は高知に戻るつもりはなく、将来的にいつか戻りたいという考えでした。高知はすごく好きだったので、就職活動では、将来的に戻る可能性を考え、高知に支店や営業所がある会社を見ていました。ただ四国の支店は高松に多く、高知の企業の選択肢はかなり少なかったですね。自分が何に向いているのか、よく分かっていなかったので、大阪・京都を中心に幅広くいろいろな会社を見ていました。コロナ禍の就職活動で、簡単に県外を行き来できなかったこともあり、地元に帰ることが選択肢の上位に上がってきました。高知に戻ることへの意識は、正直ポジティブとネガティブの半々でした。遊ぶ場所の少なさや大学の友達と別れる寂しさ、一方で家族や地元の友達の存在や小さい頃から馴染みのある場所である安心感、どちらも感じていました。また事業や業務はもちろんですが、面接で、繕わずありのままの自分を伝えて、その個性を尊重してもらえる会社がいいと考えていました。個性を偽って働き続けることは難しいと思っていたので。
――入社後の業務、地域密着の業務を通じた高知への貢献
次に、入社後の業務について、これまでに印象に残っている業務や、業務を通じて感じていることを聞いた。旭食品の業務は、地域に密着し、地域の多様な関係者と密なコミュニケーションを大切にしながら、高知の食・地域の食の魅力を伝える役割を担っている。
松本:私は地産外商推進課という、地域の商品の販売を行う部署にいます。地域のメーカーの商品の販売強化や、新規のメーカーの発掘や商品の調達が主な仕事です。年に2回自社の展示会を開催して地域のメーカーの商品を得意先の量販店等に紹介したり、赤井や濱田のような自社の営業と連携して商品を拡販しています。
地域のメーカーの商品を取り扱う難しさは、日々感じています。自分が良いと思った商品でも、製造のキャパシティが小さかったり、良い原材料を使っていて価格が高かったり、小売店側から見てコンセプトに合わないものは販売が難しいためなかなか取り扱ってもらえなかったり、取り扱ってもらっても消費者が価格や他のところを理由に買ってもらえなかったり……食べたら間違いなくおいしいと思う商品でも、実際の販売につながらないケースもあるのが難しいところです。メーカーや商品を発掘して紹介するという業務は、入社前からやりたかった仕事でイメージ通りではあったんですが、販売につなげるところまで取り組む難しさは入社前の想像以上だったなと思います。
今年弊社は100周年を迎え、プロジェクトチームのメンバーとしていろいろ取り組んだことは印象深いです。プロジェクトの一環で、東京ドームに看板を出して、大谷選手といっしょに映ったりもしました。特に、展示会と連動した100周年イベントを開催し、吉本興業とコラボしたり、外食チェーンの屋台村を展開したり、いつもと違う形の展示会を行って、本当に大変でしたが、良い反響もたくさんいただき、貴重な経験になりました。
赤井:入社後にOJT研修等を終えて、高知支店で酒類の営業を担当しています。メーカーと、量販店や小売店の得意先の間に立って、得意先にメーカーの商品提案を行うことが主な業務です。量販店から一般小売店や酒屋さんまで、大小関わらず得意先になっています。高知は東西に長いですが、くまなく各セールスが担当していますね。私も、室戸で代々続く酒屋さんが得意先だったりします。
入社して感じることは大きくふたつあって、ひとつめは本当に地域密着だということです。先ほど話した室戸の酒屋は、何十年も代々その地で商売をされていて、県内隅々のそのような方々のところまで、毎週営業に行きます。説明会でも地域密着と聞いていましたが、入社してより強く感じています。ふたつめは、卸売がメーカーや小売と想像以上に密に関わる仕事だということです。メーカーと小売をつなげる役割として双方に頻繁にお会いしながら関係性を深めていますし、若手の自分でも様々な局面に介入できることにやりがいを感じています。また卸売の営業は、自社製品のみを提案するメーカーの営業と違い、まだ取り扱いのないメーカーを自分で見つけて、地域のフェアに提案したり、より幅広く携われることが特権で、卸売を選んで良かったと思うところです。営業の担当になってまだ日が浅く、できないことやわからないことだらけで、得意先やメーカーに迷惑をかけることも多々あるんですが、より満足してもらえるよう工夫して、「赤井さんが担当で良かった」や「ありがとう」という言葉をもらえたときは、力をもらえますね。
濱田:私は食品の営業をしています。取り扱う商品の数が非常に多く、数えることができないほどの商品数を取り扱っていますね。業務を行う上で、社内外問わず様々な方と関係を構築することが数字以上に大切なことだと思っています。担当している御得意先で、自分の提案した商品が採用されたときはとても嬉しかったです。地元企業だからこそ、地元の力になれていると感じられることがやりがいに繋がっています。入社前から、どんな業務でも任されたら何でもやってみようと考えていたので、入社後ギャップを感じることはなかったのですが、営業の場合、冬に夏物の商談をし、夏に冬物の商談をするため一年があっという間に過ぎていくように感じます。あと、東京や大阪の方は感じないかもしれませんが、大学進学で高知を離れていた4年間で、高知のまちの変化を感じました。イオンも増築され、蔦屋書店もなかったですし、高知県民としては都会になったと感じましたね。高校生のときは、高知は何もないと感じていて、京都に出たらすごく楽しいと思っていましたが、高知に帰ってくると意外と高知を楽しめることに改めて気づくことができました。
――これから思い描くキャリアビジョン、高知の食の魅力を広げること
最後に、3人にこれからの業務で挑戦してみたいこと、将来のキャリアビジョン等について聞いた。3人とも、今の仕事にやりがいを感じており、今携わる業務で更にレベルアップしたいと口を揃えた。旭食品のひとりひとりの業務を通じ、高知の食・地域の食が更に広がり、地域に還元される一助となっていくことを強く感じた。
松本:今の業務とほぼ同じなんですが、これまで以上に地域に眠っている商品や逸品を発掘して広めていきたいです。また、その土地の食材を使った商品を開発して販売する事業を始めていて、その事業にも積極的に関わっていきたいと考えています。高知県は農業が盛んなので、地元の農産物を使った加工品の販売を通じて地域活性に貢献できたらと思っていますね。自分の部署は、全国の新しいメーカーや商品を発掘する役割を担っているのですが、理想としては各拠点に社員を置ける体制をつくること、赤井や濱田のような営業に地域のメーカーの商品をより幅広く提案できる体制をつくることが理想的だと思っています。個人的にはこれからもずっと地域の食を広めるための業務に関わっていきたいです。これから旭食品に入社を考える人は、まず食に興味があることは大切かなと思いますね。また、企画提案の力が求められる仕事だと思うので、流行に敏感な人の方が向いているかなと思います。
赤井:どの仕事もそうだとは思うんですが、前向きに取り組める人が良いと思いますね。失敗はあると思うので、それを次に活かす強い意志を持って取り組めることが大事かなと。私自身は、今後も営業として働きたいと考えていて、積極的に情報収集して様々な提案ができる営業になりたいです。営業以外の仕事をしている自分があまり想像できないですね。地元で取れた食材を使った商品をつくり、地元のスーパーで販売できれば、地元の食材の魅力の発信、地産地消、地域の活性にもつながります。そんな高知の食の魅力を伝える取り組みもいつか実現できたらと考えています。将来的には、取り扱うことのできるメーカーや商品はさらに増えていくと思うので、新しい情報を常にキャッチしながら、高知に戻り高知の会社で働いているからこそ、地域のものをもっと広げていく役割を担えればと考えています。
濱田:私も営業を続けていきたいですね。県内外、様々な量販店に行っていろいろ吸収し、自分の営業としての仕事に活かしていきたいです。仕事を通じていろいろな方とお会いしますが、県外の方も多くいます。私たちは県外の方に高知の魅力を伝えられる立場なので、高知の良さを伝えて、高知のことを好きになってくれる方が増えてくれたら嬉しいですね。また、今後後輩が入ってくる中で、自分が先輩方から教えていただいたことを後輩に伝えていき、頼れる存在になっていきたいと思います。今後営業を志望される方は、いろいろな人と接点を持つ仕事なので、自分の気持ちをコントロールできること、明るく楽しく働けることが、1番大事かなと思いますね。
●旭食品株式会社の採用ページはこちら
制作:四国経済連合会
取材:一般社団法人四国若者会議
四国へ就職・転職し、